ソフブロ(ソフティのブログ)

ただ、好きな音楽(時々モノ)を語り合いたい

坂本龍一 -1919

和音のぶつかり、緊迫感

 

お世話になります。ソフティです。

 

音楽において個人的に心地良さを感じる音楽のキーワードとして、ミニマル、緊迫感があります。

 

ミニマルミュージックというと反復音楽のことを指すと思いますが、まさにミニマルで緊迫感のあるお気に入り曲が教授こと坂本龍一さんの「1919」です。

 

この1919が収録されている「1996」というアルバムは、ピアノ、バイオリン、チェロというトリオ編成で過去の代表曲を演奏している、まさにベスト的な1枚です。無人島に1枚だけ持っていってよいアルバムと訊かれれば、迷わずこのアルバムを挙げます。

1919

1919

  • provided courtesy of iTunes

 


Ryuichi Sakamoto (坂本龍一) – 1996

※ 「1919」は17:50あたりから

 

前置きなく突然始まる暴力的な和音のぶつかりとリズム、バックで流れる謎の演説。

1919年のレーニンの演説を曲に乗せているから1919という曲名。

緊迫感のあるコード進行が最高に痺れます。

 

コードとは和音のことですね。和音が低音域で固まっており重厚感がハンパないです。例えるなら、BLTサンドにローストビーフ(グレービーソース)、チーズ、タマゴ、マヨネーズトッピングされているような・・・、つまり、重くて濃いのです。そんなサンドウィッチを食べたいと思うかはさておき、この和音の塊がなんともクセになるのです。

 

しかもそれら極厚サンドが様々なバリエーションでフォルテ(ピアノが弱、フォルテが強、音楽の授業でも習ったような習ってないような)でダ、ダ、、ダダ、ダと刻むものだから、それはもう凄いインパクです。

 

生楽器でテクノ的な手法が取られている、とwikipediaでは紹介されてますね。なるほど、確かに、同じフレーズが繰り返され、トランス状態に陥ります。

 

この曲、全編を通して大好きですが、特に緊迫感の増す以下部分は聴いていてハラハラドキドキです。

 

1:13 ピアノ ポリリズム

メインのテーマの後、ピアノが8分音符で8音のフレーズを繰り返し、その後、8→7→6→5→4→5→6→7→8と音数が1つずつ下がり、また戻るという、いわゆるポリリズムが出ててきており、緊張感を高めています。

 

ここ、実際に弾いてみると、一音でも外すと修復が難しく神経を使います。ものすごい緊張感の中、指はもつれてきそうな状況で、戻ってきてピタッと他の楽器と拍子が合うとアスリート的な達成感を味わえます。

 

ポリリズム」って聞くと、やっぱりPerfumeを思い出す人も多いのではないでしょうか。ばくはこの歌でポリリズムという言葉を知りました。初めてきいたとき、ポリリズムリズムリズム・・・って変拍子になってなんだこれは??と。そして、これ、1919のあれと同じパターンのやつだ!と思ったわけです。

 

もう1つ、話がズレますが、Perfumeポリリズムのあの特徴的なシンセのリフってUnderworldと瓜二つですよね。これまた初めてきいたとき、Underworldとのコラボレーションかと勘違いしました。これは「ポリリズム Underworld」等で検索しても出てくるネタですね。

 

3:10 チェロ ポリリズム

今度はピアノに代わりにチェロの出番です。がんばれ!と心の中で叫びます。

 

3:52 チェロ ソロ

直前のポリリズムの緊張の糸が切れたかのように自由でダイナミックなソロが展開されます。チェロは教授の盟友ジャキス・モレレンバウム先生ですが、ここぞとばかりに爆発したソロを展開されています。

 

※モレレンバウム氏については、ウェブ検索すると色々出てきますが、教授作品のチェロ奏者としては必ずと言っていいほど参加されてますね。教授との共演では、ボサノバのカバー曲集「CASA」、「A Day in Ner York」が、かなりいい味出てます。ブラジル音楽のカバーなのに、個人的に、これぞ教授のピアノ!といった演奏が楽しめます。更になぜだかたまに和の響きが感じられ、でも全く違和感を感じない、唯一無二の奇跡のアルバムと思っています。いつかそのアルバムの中からも曲紹介したいです。

 

さて、1919はライブ版にて色々なバージョンを聴くことができます。自分で確認できたところでは、この1996以外のアルバムで4バージョンがありました。

 

またyoutubeで検索すると、CDリリースされていない多くのライブ動画を見ることができます。

 

1919

1919

 

 ① the very best of gut years 1994-1997

豪華で重厚感のあるオーケストラバージョンです。音のダイナミクスがすごいです。

 

1919 (Live)

1919 (Live)

 

 ② IN THE LOBBY  AT G.E.H. IN LONDON

ピアノとチェロにパーカッションが入る珍しいバージョン。

このアルバム、ライブ音源なのですが、最高にアットホームな雰囲気で、皆ニコニコ笑顔になります。(個人的な感覚です)

 

gut gut

gut gut

 

③ GUT GUT / gut label Best Compilation   1919 (08/21/1996 Live @ Orchard Hall

1996ツアー時のライブ音源。ライブ色が強く、オリジナルよりかなり早いテンポで、緊張感が増し、この音源が個人的には一番です。途中のチェロの即興演奏もオリジナルのそれを凌ぎ、モレレンバウム先生、大爆発してます。

 

このCD、ちょっとレアかもしれません。音源自体は、DVDにもなっている1996 World Tourでのライブ音源ですので、そちらでも確認できます。

 

※話がまた逸れますが、このライブDVD、恐ろしく素晴らしいです。あんなに心身ともにエネルギッシュな演奏をする教授は、このライブが最後ではないでしょうか・・・。歌までうたってます。これ以降、悟りの境地が始まり、今(2018年3月)はもう仙人みたいな音楽になってます。それはそれで好きなのですが。

Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996~Complete Version [DVD]

Ryuichi Sakamoto Trio World Tour 1996~Complete Version [DVD]

 

 

 

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan

 

Ryuichi Sakamoto The Piano 2009 Japan Self Selected

ピアノソロツアーのライブベスト盤です。2台のピアノを並べ、1台は自動演奏で連弾しています。これのRiot in Lagosは圧巻だったな。

 

あと、オマケで、岡城千歳さんというピアニストが教授のピアノカバー曲集を出されており、こちらにも1919が収録されています。このアルバムは、プロのクラッシックピアニストの方が独自の解釈で教授のカバーを演奏するというコンセプトで、面白いです。

 

坂本龍一ピアノ・ワークス

坂本龍一ピアノ・ワークス

 

 

坂本龍一ピアノワークス2?映画音楽集

坂本龍一ピアノワークス2?映画音楽集

 

 

更にオマケで、教授のカバーというと、こんなのもありました。オトマロ・ルイーズ プレイズ 坂本龍一。1919は収録されていません。岡城千歳さんよりも自由な解釈で演奏されており、若干ラテンテイストが感じられ、これまたとてもユニークなアルバムです。個人的にはやはりオリジナルには敵いませんが、選曲が(多分)通好みといいますか、なかなかニヤッとさせられます。EtudeやAfter Allとか。

 

オトマロ・ルイーズ・プレイズ・坂本龍一

オトマロ・ルイーズ・プレイズ・坂本龍一

 

 

それではまた。